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人類水生進化説 第4章 人類は水生環境で進化した

第4章 人類は水生環境で進化した

 ヒトがいっとき水生生活をしていたことを示唆する状況証拠は、これまでに紹介したもの以外にもたくさん存在していて、そうした中から「人類水生進化説」が登場しました。
 最初にこれを提唱したのは、ドイツの解剖学者マックス・ヴェシュテンヘーファーで1942年に、次に1960年に英国の海洋生物学者アリスター・ハーディが違う角度から発表しました。ヒトは、“陸→水→陸”と“Uターン”した、奇想天外な動物という「人類水生進化説」は、当時の学者に嫌悪感を抱かせ、罵倒と無視によって、その後は、ほとんど忘れ去られていました。
 これを復活させたのが、シナリオ・ライターという門外漢の英国人エレイン・モーガン女史で、彼女は文献や学者からの聞き取り調査を元にし、1972年に「女の由来」を著し、その後も精力的に調査を進めて、「人類水生進化説」に関する著書を5冊も発刊しています。
 最初の著書が発刊されて以来、世界的に大きな反響を与えましたが、前の2例と同様の憂き目に遭わせられ、残念ながら、この説は将来的には忘れ去られてしまうかもしれません。
 しかし、この「人類水生進化説」は、ヒト特有のほとんど全ての形質について、矛盾することなく、見事に説明できてしまいますから、信憑性の高い説として認知すべきものです。
 そこで、彼女の著書のうち私の座右にある4冊と、他の学者による文献、それに私見を交えて、要点を紹介することにします。

1 水生環境への適応
 水生環境にいっとき適応していた脊椎動物は、決して珍しい存在ではなく、現生するものの中に幾らでもあります。
 その前に、逆Uターン組を紹介しておきます。
 水→陸→水と生活環境を変えたのが硬骨魚類で、魚類の中で、ずっと生活環境を変えなかったのは、サメとエイの仲間の軟骨魚類だけです。
 魚が陸に上がったなんぞ、とても信じられないかもしれませんが、軟骨が硬骨になったのは、重力の作用であって、干潟でのたうち回る生活を長く経験した証拠です。そのように西原克成氏は述べておられ、サメによる実証実験もされています。
 さて、本題のヒトと同じUターン組は、爬虫類ではヘビがそうですし、哺乳動物ではゾウとサイそしてイノシシです。まだ十分にはUターンし切っていない哺乳動物はとなると、カバと野生ブタが挙げられます。
 彼らの水生環境への馴染み具合はまちまちですが、その特徴的な形質を数多く残していて、皆、水に入るのを好みますし、泳ぎもうまいです。
 なお、哺乳動物で、陸→水への一方通行組は、ご存知のとおり、クジラやイルカ類、ゾウの仲間のジュゴン、マナティー、クマの仲間のオットセイ、アシカ、セイウチそしてイヌの仲間のアザラシが挙げられますし、ラッコ、カワウソ、ビーバーも随分と水生環境に馴染んでいます。
 ここに紹介しました、過去に水生環境に適応していたり、現在、適応している哺乳動物の形質の特徴を踏まえて、ヒトがいっとき水生生活を送っていたであろう状況証拠を幾つか列記してみましょう。

① 水中での出産と子育て
 ヒトの赤ちゃんが、自力で水に馴染むことは前章で述べましたが、ヒトの出産は、水中出産が楽であることが知られています。
 そして、水面に浮かんで授乳をするに当たっては、赤ちゃんが、つかまりやすいように、ヒトの乳房に膨らみが生じたと考えておかしくないです。
 なお、水生哺乳動物の多くにそうした傾向が見られ、これは、陸上哺乳動物には全く見られないものです。
② 体毛の喪失
 水生環境に十分馴染んでいる大型の哺乳動物は皆、体毛を喪失しています。
 また、水辺を生活基盤とする野生ブタは、体毛を大幅に減らしています。
 ただし、イノシシは体毛を再び取り戻しましたが、その毛は、陸生哺乳動物の体毛とは様相を異にし、剛毛です。
 ヒトと同様にUターンしたと考えられているゾウやサイは、厚皮動物と呼ばれることがあり、体毛がなく、皮膚の形状は、ヒトと極めて類似した鱗状をしています。
 ただし、ゾウやサイのそれは肉眼で分かりますが、ヒトの場合は、虫眼鏡で見なければ分かりません。
 ところで、水生哺乳動物やヒトは、なぜに体毛を失ったのでしょうか。
 これは私見ですが、毛が濡れっ放しになると、蒸散冷却によって、体が冷え過ぎ、体表への血流が極端に悪くなって毛根への栄養補給が滞り、その結果、毛が抜け落ちた、と考えて良いのではないでしょうか。
③ 皮下脂肪の溜め込み
 皮下脂肪をたっぷり持つのは、冬眠する動物と水生哺乳動物だけです。
 ヒトが冬眠を習慣にしたとは考えられず、後者であったからでしょう。
 水生哺乳動物にとって、水によって体熱が奪われるのを防ぐことと、水に浮かぶために必須なものが、皮下脂肪なのです。
③の2 低体温 (2012.2.23追記)
 ヒトの体温は36.5度前後であるのに対し、陸生哺乳動物の体温は、たいてい38度±0.5度程度になっています。
 一方、水生哺乳動物の体温は、概ね36度±0.5度程度と、陸生に比べて、2度ほど低いです。
 これには例外があり、陸生であるゾウは36度前後でして、ゾウは過去に水生生活に十分馴染んでいたことが示唆されます。
 なお、チンパンジーの体温(直腸温)は、37.5度と報告されていますし、また、野生ゴリラの第1人者、山極寿一氏は、ゴリラの手はヒトの手より少し熱いし、息が生暖かいと述べておられ、類人猿の体温もヒトより高いと言えます。
 ヒトや水生哺乳動物の低体温は、水によって体熱が奪われ続け、それに適応していった証しであって、皮下脂肪の溜め込みとセットになっていると思われます。
 なお、体温は、測定部位、時刻によって、1度程度の差異が生じ、動物の体温は、文献によって1度程度の違いがあります。
④ 直立二足歩行と手短・足長
 このことについては第2章で詳述しましたように、水生生活を続けていれば、自然と体型に変化が生じて、直立二足歩行はいとも簡単に出来上がりますし、類人猿の特徴である手長・短足が、猿人→原人→現生人類と進むにつれ、順次、手短・足長になってきたのは、恒常的な水生生活により、ヒトは、カエルの体型に近付いていったと考えて良いでしょう。
 なお、水生生活に極度に馴染んだ哺乳動物は、手足を短い鰭状のものに退化させ、背骨をくねらせることによって、高速で泳げるのですが、ヒトもこれがどれだけかでき、陸生哺乳動物にはない特性を備えています。
⑤ 随意的な口呼吸
 水生生活に十分馴染めば潜水が日常的となります。
 類人猿は随意呼吸ができませんが、水に浸かれば、反射的に息を止めることはできます。これを訓練すれば、随意に息を止めることができるようになるでしょう。
 そして、潜水時間が長くなれば息が苦しくなり、水面に浮上したら、直ちに大量の空気を一気に吸おうとします。ここに口呼吸が始まります。水生哺乳動物の多くが行っている呼吸法で、喉の構造を複雑に改変したのです。
 これに対し、陸生哺乳動物は、口呼吸ができません。イヌが暑さで喘ぐときも吸うのは鼻からです。彼らの喉は飲食物の気道への流入防止のために、口から息が吐けても口からは息が吸えない構造になっています。
⑥ 外耳道の外骨症
 日常的に頻繁に泳ぐ生活をしているヒトには、外耳道の鼓膜の近くに骨の膨らみができることが多く、これを外骨症と言いますが、泳がないヒトには生じません。
 良く保存された原人の頭骨の調査で、1体だけですが、外骨症が見付かっています。この原人は、水生生活に十分に馴染んでいたと考えて良いでしょう。
⑦ メスの性器の保護措置
 ヒトのメスには不完全ながらも処女膜があります。
 陸生哺乳動物のメスでこれを持つものは、極めて例外的にしか存在しませんが、水生哺乳動物のメスは皆、これを持っています。
 加えて、ヒトのメスの性器は、大陰唇で膣に蓋をする構造になっています。
 これらの保護措置は、いずれも膣に水が入らないようにし、病原菌の侵入を防いでいると考えられます。
⑧ 鼻の形状変化と人中(じんちゅう=鼻と口の間にある縦の溝)
 類人猿の鼻は低く、鼻の穴は、ほぼ前方を向いていて、においを嗅ぐのに都合が良いです。これに対して、水にある程度親しんでいるテングザルは、鼻が長く、鼻の穴は下向きで、泳いだり潜水したりするときに、鼻の中に水が入りにくいようになっています。人の鼻は、そこまで長くないですが、類人猿と比べれば、はっきりとした差があり、鼻の穴は下向きです。
 テングザル以上に水に親しんだであろうヒトですが、鼻を格別に改変させず、唇と人中という溝でもって、鼻の穴に蓋をする術を開発しました。
 これは、唇のめくり上げが恒常化していたことにより、容易に実現したものと思われます。なお、今日でも、これが出来るヒトがいて、人中はヒトに特有なものです。
 ところで、ヒトの唇は、口内粘膜の一部がめくれあがって、それが固定化されてしまったものですが、このような動物はヒトだけです。
 なぜにそうなったかについては、私見ですが、ヒトが水生生活に十分に馴染んだ段階に至ると、挨拶行動の主要な手段として、キスを多用せざるを得なかった特殊な事情があったからと思われます。
 その事情の詳細については、機会を捉え、別途論述することにいたしましょう。
⑨ 水かきが付いた手足の指
 足の指の第2と第3の指の間に水かきの痕跡を持つヒトが数パーセント程度いますし、誰もが、手の親指と人差し指の間に今でも水かきがあり、90度以上に広げることはできません。類人猿には、これがないですから、手の指の角度をかなり大きく広げることができます。
⑩ 親指対向性の機能獲得
 親指の指先の腹と、他の4本の指先の腹とを、完全に密着させることができるのを、「親指対向性」と言います。これは、チンパンジーには不可能な技ですし、猿人は、これをまだほとんど手に入れていません。
 原人になって、初めて現れた能力です。これによって、物を「精密把握」できるようになり、指先が格段に器用になりました。
 私見ですが、この能力は、質の高い水生生活をする中で赤ちゃんが手に入れたと思われます。母親が平泳ぎで泳ぎ回るとき、赤ちゃんは、母親の背に乗り、何かにしがみつかねばなりません。肩の僧帽筋をつかむと安定します。
 でも、平泳ぎは発進と停止を繰り返しますから、停止時には、慣性力によって赤ちゃんの体が進行方向へ大きく進み、つかまり方が4本指でのぶら下がり方式では、手が滑りやすいです。
 これを防ぐには、親指を対向させて、僧帽筋を握る方法を取るしかありません。赤ちゃんはこの繰り返しの中で親指を都合の良い骨格に作り替えたのでしょう。
 なお、「親指対向性」は、ヒトだけでなくて、ヒヒ類やニホンザルなどにも見られますが、彼らの場合は、小さな種や木の実をこまめに取り続けることによって、その能力を獲得したと思われます。
⑩ アポクリン腺の大幅な減少
 異性を引き寄せたり、個体識別するためのフェロモンを含んだ汗をほのかに出すのがアポクリン腺で、類人猿には全身に存在していますが、水生哺乳動物は、これを著しく退化させています。
 ヒトも、乳首、脇の下、陰部などに、わずかに残すだけとなっています。
 水生生活では、汗をかくことはないですから、アポクリン腺を働かせることがなくなって、大きく退化させてしまったと考えられます。
⑫ 塩分コントロール機能の欠如
 陸生哺乳動物一般に、体内の塩分が不足した場合には、塩分の高い土を食べたり、塩分を含んだ湧水を飲むのですが、必要とする量が摂取できてしまったら、そこでピタッと止めます。
 それに対して、ヒトは、そのコントロール機能を欠如させていて、塩分を過剰に取ってしまいます。これは、海あるいは塩水湖畔で長く生活していたがために、過剰な塩分を摂取してしまい、その結果、塩分コントロール機能が壊れてしまった、と考えて良いでしょう。

2 再び陸生生活へ
 ヒトの祖先は、以上の例のように随分と水生環境、それも、海あるいは塩水湖に適応していた時期があったと考えられるのですが、それが、あるとき、慣れ親しんだ水生環境が消滅し、再び陸生生活への変更を余儀なくされるに至ったのでしょう。そして、見事に陸の環境に適応していったと思われるのです。
 引き続き、その状況証拠を幾つか列記しましょう。
① 発汗システムの再開発
 霊長類は皆、暑いときには、皮膚全体に存在しているアポクリン腺から、うっすらと汗をかき、汗を毛に付着させて蒸散させ、これでもって体熱を放散させているのですが、水生生活を長く続ける中で、そのアポクリン腺の大半を失ってしまったヒトはこれを復活させることはできませんでした。
 でも、幸いにも、霊長類は皆、もう一つの発汗機能を持っています。
 それは、掌や足の裏にあるエクリン腺です。これは、大量に発汗させるのが特徴で、滑り止めになります。なお、類人猿はエクリン腺を全身に持っていますが、それらは全く機能させておらず、退化途上にあります。
 そこで、ヒトは、体熱放散のための代替器官として、このエクリン腺を生き返らせ、また、それを密に発生させて、全身に展開したのです。
 ところが、このエクリン腺には難点があって、大量に汗を吹き出させてしまい、脱水症状と体内塩分喪失を招きやすいのです。
 よって、頻繁に水分補給せねばならないのですが、このような哺乳動物はヒトだけです。
② 優れた皮脂分泌機能の獲得
 胎脂については前章で述べました。誕生後は、大量には皮脂分泌をしなくなりますが、その機能が残っていることによって、ヒトは、吹き出物やニキビで苦しめられ、このような皮脂は無用の長物である、との英国の皮膚科医の見解を、モーガン女史が紹介されていますが、これは間違いです。
 日本の皮膚科医によれば、この皮脂分泌のおかげで、体表にうっすらと皮脂膜ができて、皮膚の乾燥が防がれるのです。加えて、ある種の細菌が皮脂膜を住みかとし、垢となった角質を食べつつ増殖し、弱酸性の廃液を出し続けてくれていることによって、病原菌の侵入を防いでくれてもいるのです。
 彼らを皮膚常在菌といい、体を洗わなければ、ヒトの体表に、約1兆個も生息していて、ヒトと緊密な共生関係を築いています。
 ヒトが専ら陸生生活をするようになって、この皮膚常在菌が皮膚に取り付いてくれたことと、メラニン色素の優れた生産能力によって、ヒトは、ゾウやサイのような厚皮動物にならずに済んだ、と言えましょう。
③ 皮下脂肪の有効活用
 保温材として働く皮下脂肪は、暑い所では邪魔になりますが、皮下脂肪のエネルギー量は、含水炭水化物に比べて約8倍にもなり、食糧が豊富なときに、皮下脂肪として溜め込んでおけば、実に効率の良いエネルギーの貯金箱になります。
 冬眠する哺乳動物が皮下脂肪を持つ所以は、ここにあります。
 従って、ヒトは、飢餓が続いても、随分と長く生きていられるのです。
 ちなみに、断食の世界最長記録はインド人の職人で、通常の生活をしながら何と411日も断食を続けました。これにはびっくりさせられますが、飢餓寸前でない限り1ヶ月や2ヶ月の間、何も食べなくても平気なのがヒトの通常の姿で、飢餓に対して非常に生命力が強い動物と言えます。
④ 直立二足歩行の維持
 これについては、第2章で述べましたように、その体型を維持するしかなかったのですが、これにより困った問題が生じました。
 専ら陸で生活をするようになると、地球の重力をもろに受け、内臓疾患のみならず足首、膝、腰、首などの関節にも多大な疾患を抱え込むことになります。
 今日に至っても、これらの疾患を克服できないでいますから、我々の祖先が陸に上がったのは、さほど古いことではないものと推察されます。
 現生人類は十数万年前に誕生したと言われていますが、それまでの間は、水生生活にたっぷりと馴染んでいたと考えた方が良いでしょう。
 そうした長期にわたる水生生活をしてきたからこそ、ネオテニー現象(幼形成熟)が顕著に現われ、現生人類は、約200万年前の原人よりも、ずっと大きな脳を持ち、華奢な骨格になってしまったと考えるべきでしょう。
⑤ 体毛の再生産の努力
 野生ブタから進化したイノシシは、剛毛を獲得しました。
 野山を駆け回るには、毛皮なくしては、皮膚が傷だらけになるからです。
 ヒトも、どれだけかの剛毛を獲得しています。
 両足の外側、前面、膝から下の内側で、特にオスに顕著です。
 それ以外にも比較的密に毛が生えているところがあります。
 性別に関係なく、同じように生えているのが、眉毛、脇毛、陰毛です。
 なぜ、こうした部分的な発毛が生じたのでしょうか。
 私見ですが、発毛は、摩擦が繰り返されることにより、その部分の皮膚が恒常的に刺激されて毛根が活性化することによる、と考えて良いと思われます。
 足の部分的な発毛は、草原を歩くときに草で擦れる部分です。しかし、極めて粗くしか発毛しておらず、お世辞にも役に立つとは言えません。これは、イノシシのように激しく駆け回ることのない、おっとりとした性格の持ち主であったからでしょう。
 次に、眉毛ですが、額に汗をかくと、汗が目に入り、痛みを生じますから、手で汗を擦り取ります。そのとき目の上の出っ張っている骨を押さえ付けますから、その部分の皮膚に圧迫刺激が与えられ、そこだけ太い毛が生えようというものです。
 脇毛はというと、歩くときに脇が擦れますから、その摩擦刺激によるものでしょうし、陰毛は、性交時における圧迫刺激によるものでしょう。
 なお、チンパンジーには脇毛や陰毛はありません。これは、彼らはナックル歩行ですから脇が擦れることはないですし、性交頻度は高いものの通常は数秒程度で終わってしまい、摩擦刺激がどれだけも生じないからと考えて良いでしょう。
 一方、髪の毛は、性別により差が生じています。
 私が思うには、そもそも水生生活をする中で、皆、いったん禿頭になったのでしょう。ところが、熱帯で専ら陸の生活をするとなると、これでは暑くてたまりません。
 ゾウが泥浴びして背中に泥をかけるように、ヒトも湿った泥を頭に貼り付け、泥が落ちないように絶えず叩いたり寄せたりし、頭皮に刺激を与え続けたことによって、髪の毛が生えるようになったのではないでしょうか。
 なお、ヒトのメスに髪の毛が卓越するのは、乳児が母親につかまっていようとして髪の毛に絶えず引っ張り刺激を与えたからと思われます。そして、妊娠すると髪の毛が太くなり、また、伸びる速度が増すのは、その反射的適応と思われます。
 ヒゲは、ヒトのオスに特有なものです。性的魅力をアピールする目的で生じた、と言われていますが、念じて生えるものではないでしょう。
 頬、顎、口の回りの皮膚に、圧迫刺激を与えないことには、決してヒゲは生えないでしょうし、それも、オスだけがこれを行ったのです。
 この圧迫刺激の様は、ロダンの彫像「考える人」そのものでして、太古の昔、ヒトのオスに、よほど考えあぐねばならない、深い事情があったに違いありません。
 そのオスがとった涙ぐましい努力と、それによっても目的が適わず、ただひたすら沈思黙考せざるを得なかった事情については、のちほど触れることにします。
 ここまで述べてきましたように、ヒトは、“陸→水→陸”と生活環境を大きく変えたと考えるしかない、独特の形質を数多く保持しています。
 これだけ多くの状況証拠が揃っているのですから、モーガン女史がまとめ上げられた「人類水生進化説」は、「法則」に格上げしても構わないと、私は考えるのですが、いかがなものでしょうか。


 次ページ ⇒ 第5章 ヒトの性行為の変化



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